わたしのこと

人生の後半を何とか良くするために、色々模索中

黒歴史

私が学生だった頃、

もう30年以上は、前のお話

 

私たちは5人のグループだった。

 

気の合う仲良しだったのか、

あぶれた者同士、何となく一緒に行動していたのか。

 

思い返せば、仲も良かった。

でも、何となくどっかのグループに入れず

自然と集まっていったグループだったようにも思う。

 

私は、学校の隣の県から登校していたので

毎日、毎日、電車に一時間半ほど揺られて

通っていた。

 

電車に乗って外の景色を眺めているのが

本当に好きだったから

通学は飽きることもなく

億劫に思うこともなく、無事卒業出来た。

 

ある時、みんなで旅行に行こうという話になったんだけど

一人の子が、「私は行かない」と言った。

理由は「お金がかかるから」

 

私は「えっ?信じられない」と思った。

私たちは学生で、毎日学校に通っているし

しかも

あの頃はバイトをしてる子もあまりいなかったし

だから、費用は親に出してもらうことになる。

それをあまり、おかしいとも思わない時代だった。

 

私はお小遣いで出したのか、

親に出してもらったのか

貯金を下ろしたのか

今では覚えがないけど、

数年に一度の、友達との卒業旅行を

そんな理由で断るの??!って、鼻で笑っていた。

他の3人も同様の疑問を持っていた。

 

待ち合わせの駅から、五人で学校に向かう。

私たち旅行組4人は、あれやこれやと

旅行の計画でいつも盛り上がっていた。

 

彼女は、端っこに座って、目を閉じていた。

きっと、耐えていたんだろう。

 

私たちは、ヒソヒソと

「変じゃない?なんで行かないの?」

「絶対に私たちの会話聞こえてるよね?」

「うんうん、絶対に聞こえてる!」

 

そんなことを話していたのを、鮮明に覚えている。

 

旅行から帰ってきてからも

彼女は変わりなく、いつものように

にこやかに私たちと喋りながら、学校に通った。

 

卒業を前に、みんなが就活しだしたころ

ある事実を知る。

 

旅行に行かなかった、あの子が

成績優勝で(いわゆる主席)

学校から、うちで働いてほしいと頼まれて

先生の助手として、学校に就職することが内定していたのだ。

 

そのことを知った私は、雷に打たれたごとく

ものすごい衝撃を受けた。

 

そうなの?彼女が?

本音を言えば、見下していた彼女が??!!

私は成績優秀でもなんでもなく

普通の学生だったけど、

まさか、彼女が私より出来る人だったなんて!

 

その時、私は悟った。

 

そうか、そういう事なのか。

彼女は決して格下なんかじゃなく

私より、格上だったんだなって。

私は負けた。負けてたんだ・・・。

どんな時も、私は彼女を超えたことなんか

一度もなかったに違いない。

人として、生き方も、存在の仕方も。

 

おとなしくて、慎ましくて、いつも一歩下がって

人の話をずっと聞いてる子だった。

 

私学の短大に通ってたから、

きっと親に金銭的な負担をかけていると

遠慮していたんだろうな。

 

今ならその気持ちもよくわかる。

 

今になってこそ、自分が親になってこそ

彼女の気持ちが、痛いほどわかるのに

その時の私は、傲慢で、鼻持ちならない

冷徹な、わがまま娘だった。